クロアチア代表ユニフォームの海外通販について
7月にルカさんにはまった時点で、日本のスポーツショップではクロアチア代表ユニフォームは完全に品切れ、アマゾンではインドネシア製の偽物が大量に出回っている状況でした。日本の販売代理店で購入できれば一番ですが、中々そうもいかないので、私は海外通販(個人輸入)でユニフォームを買うことにしました。その時に調べたこと、気がついたことをまとめておこうと思います。
なおユニフォームの値段は、日本の販売代理店を通じて買う場合17000円くらいですが、海外通販ならば送料関税等込み12000円〜15000円程度で済みます。手間を考えたら代理店で買うのが最も楽ではありますが…。
ユニフォームを購入できるサイト/本物と偽物の見極め
偽物を避けて本物を入手するための一番の方法はもちろん信頼できるサイトで購入することです。以下のサイトで私は実際に買い物をしたのですが、どちらも信頼性は高いと思います。
HNS webshop :クロアチアサッカー協会公式ウェブショップ。値段はクーナ(HRK, kn)で表示されます。(ユーロ表示にも切り替えることができますが、基本はクーナです。)公式ショップなので偽物が送られてくることはまずないでしょう。ただ、言語はクロアチア語のみです。
Subside Sports:イギリスのスポーツショップ。値段はポンドで表示されます。こちらも正規販売代理店であり、イギリスに留学していたフォロワーさんが、イギリスにおけるサッカーショップ加茂のようなお店だと教えてくださいました。
この他、ナイキの公式ショップでも買えますが、選手の名前や背番号のマーキングは行ってくれません。同じく、大手スポーツショップのPro:Direct Sportでも購入可能ですが、こちらもマーキングは行ってくれません。マーキングをしてくれて、しかも信頼できる業者を探すために2ヶ月ほど調査していたのですが、おそらくこの2つのサイトが現状の最適解だと思います。
これら以外のサイトで購入する場合、偽物を避けるには以下のポイントに注意する必要があります。
(1)ナイキ公式の商品番号が書かれているかどうか
偽物の多くにはナイキ公式の商品番号が書かれていません。ナイキ公式の商品番号とは以下のようなものです。(※ハイフンは省略されることもあります。)
2018/19 ホームユニ(メンズ)/2018/19 Croatia Home Shirt 品番 893865-657
2018/19 ホームユニ(キッズ)/2018/19 Croatia Kids Home Shirt 品番 893980-657
2018/19 アウェイユニ(メンズ)/2018/19 Croatia Away Shirt 品番 893864-010
2018/19 アウェイユニ(キッズ)/2018/19 Croatia Away Kids Shirt 品番 893979-010
これはいわゆる「オーセンティックユニ」(より正確にはNIKE Breeze Top Stadium Jerseyという商品)の商品番号です。これ以外に、「選手支給用ユニ」(NIKE Vapor Match Jersey)と、「サポーター用レプリカ」(NIKE Breeze Top Football Top)が存在します。購入する前に商品番号でGoogle検索して、ナイキ公式ショップで商品情報を確認するのが良いでしょう。
この3つのモデルの違いは以下です。
選手支給用ユニ:選手が試合中に着用しているのと全く同じモデル。生地も縫製も同じ。選手の体にフィットするようにウエストが細くなっている。値段は138ユーロ前後。あまり多く流通していない。
オーセンティック:選手が試合中に着ているものとは生地も縫製も違うけれども、似せたモデル。ジャージ素材で柔らかく着用感が良いが破れやすい。サポーター用なのでウエストは寸胴。値段は85ユーロ前後。
サポーター用レプリカ:比較的厚手のポリエステル生地でできたサポーター用シャツ。デザインは少し選手用からは遠くなるが、オーセンティックと違って破れにくく、値段も一番安い。値段は50ユーロ前後。
キッズサイズはこれよりも10〜15ユーロ安くなります。アジア人女性であればキッズサイズLまたはXLもぴったり合うと思いますので、それを買うのも一つの手です。
なお偽物はここに示した値段の半額くらいで売られているので、値段も真贋を見極める際の一つの目安になります。
(2)取り扱いサイトに、販売業者の住所が書かれているかどうか
偽物を取り扱っているサイトには、業者の所在地・住所が書かれていないことが多いです。問い合わせ用のメールアドレスは存在しても、住所が書かれていない場合はほぼ怪しいサイトだと考えて良いでしょう。
(3)製造地が書かれているか
本物はMade in Georgiaです。偽物の多くは製造地不明か、Made in Indonesiaです。
ただし、アンセムジャケットなど一部商品は本物もMade in Indonesiaなので、その点には注意が必要です。
(4)商品タグの位置をチェック
本物は両脇(2箇所)に商品タグがついています。偽物は首のところに1箇所だけ商品タグがついています。
(5)商品写真で、アウェイユニの背番号に白いHNSロゴがはいっていないか
大量に出回っている偽物アウェイユニには、赤い背番号の下部に白でHNSロゴが入っているので、商品写真ですぐにわかります。本物のHNSロゴは黒です。
背番号マーキングについて
HNS WebshopとSubside Sportsではオフィシャルプリント(背番号、ネーム)を入れることができます。値段は20ユーロ前後です。購入時に指定することになります。選手名の入力時に使用するクロアチア語の特殊文字は選手本人のインスタグラムなどからコピペしてくるのが手っ取り早いですが、間違いがないかよく確認する必要があります。
HNS WebshopとSubside Sportsでは、オフィシャルプリントが品切れの場合でも、ファンスタイルプリントで自分の好きな選手の名前を入れることができます。こちらは10〜15ユーロです。
ファンスタイルプリントも、オフィシャルと同じナイキ公式フォント(SportingIDという会社が製造・支給)を使用するので、オフィシャルとの違いは背番号の中にHNSのロゴが入っているかどうかだけです。
なお、Subside Sportsのプリントオプションにある“Match Transfer”とは、ユニフォームの胸部にあるクロアチア国旗と対戦相手の国旗のことです(例えば、ロヴレンがインスタに上げているこちらの写真をご覧ください)。ただし、“Russia 2018 Tournament Transfer”という商品(3ポンドくらい)は非公式レプリカなのでご注意ください。謎にロシアの国旗単品がプリントされることになります。
決済方法について
海外通販でクレジットカードを使う場合には、いつもより慎重にならねばなりません。そのサイトのセキュリティの強度が十分かどうか、外部から知るのはかなり困難だからです。
そこで便利なのがPayPal(ペイパル)という決済代行サービスです。このサービスにクレジットカードを登録すれば、PayPalを介して決済を行うことができます。
この方法には以下のような利点があります。
・大手決済代行サービスなのでセキュリティ面でも比較的信頼性が高い
・個々のネット店舗にクレジットカード番号を教えなくて済む
・決済した情報がお店とカード会社だけでなくPayPalにも残るので、何かトラブルが生じても確認が容易
もちろん、ペイパル自体のセキュリティが破られて情報流出したらどうしようもないのですが、少なくともクレジットカード番号を直接色々なサイトに入力するよりはマシであり、次善の策であると言えるでしょう。
HNS WebshopとSubside Sportsでも、PayPalが使用できます。
類似の決済サービスにAmazon Payなどがあります。
配送方法と関税について
海外通販で物品を購入する際には、配送業者にも注意が必要です。もし配送会社が選べるならば、ドイツのDHLという配送会社を選ぶのが良いと思います。DHLは他の配送業者に比べて値段が高いですが(ユニ1〜2着の場合17〜22ユーロ)、信頼性は一番です。海外アマゾンなどでこれまで20〜30回使っていますが、何か配送でミスがあったことは一度もありません。
Subside Sportsでは、イギリスの郵送会社Royal Mailを選ぶこともできます。国際郵便での配送料は10ポンド(ユニ1〜2着の場合)とお安いですが、信頼性はDHLには劣ります。中身が高価な時は避けたほうが無難でしょう。とはいえ、あまりに安くてお得なので私はRoyal Mailを5回ほど利用しましたが、5回とも遅配なく、ちゃんと届いています。
さて、海外通販する場合には関税がかかります(詳しくは以下の税関のサイトを参照)。これは配送業者の通関士が計算します。しかし、課税対象額が1万円以下(つまり送料込みの商品価格が16666円以下)の場合は免税されるというルールがあるため、少額かつ条件を満たしていれば関税は請求されません。ただし、この免税ルールには対象外の品目があるのでその点に注意する必要があります。
残念ながら、ユニフォームに関しては免税ルール対象外で、少額であっても10%の関税がかかります。
なぜ対象外なのか納得がいかず、税関のホームページ等でよく調べたところ、ユニフォームに使用されている「ジャージ素材」というのは「編み物(ニット)」の一種なのだそうです。ニットは免税ルール対象外です。
一般に、布地にはテキスタイル(織物)とニット(編み物)の二種類があり、テキスタイルを用いた衣類は免税ルール対象なのですが、ニットは対象外なのだそうです。これらの違いは以下のサイトで詳しく解説されています。
したがって、例えば普通のTシャツなどは課税対象額1万円以下ならば免税になります。実際、ロヴレンの会社でTシャツを購入した際( DHLを利用しました)には課税されませんでした。
ちなみに、ユニフォームを買っても関税が請求されないケースもあります。これには税関の担当者がどれくらいしっかりチェックしているかが関係していそうです。DHLは比較的厳密にチェックをしているようですが、Royal Mailはそこまで厳密にやっていないのかな…という気がします。
関税が生じた場合には、配送業者が届けに来た時に請求されますので、その場で払うことになります。
VAT(付加価値税)について
HNS公式ショップでは、ユニフォームの値段に25パーセントのVAT(付加価値税)があらかじめ上乗せされています。クロアチアではVATのことを“PDV”(Porez na dodanu vrijednost)と言います。日本に住んでいる購入者は、理屈から言えば免税されてもよいはずなのですが、ネット通販の場合、PDVが免税・返金される可能性があるのかどうか、正直よくわかりませんでした。
例えば旅行時にクロアチア現地のお店で買い物をした場合、免税を受けるにはいくつか条件があります。(1)免税店(免税対応していない店もある)で購入し、かつ(2)領収書の金額が740クーナ以上である場合、(3)免税カウンターに領収書の原本を提示して、書類に必要事項を記入することで支払ったPDVの一部(最大12.26%)が返金されるのだそうです。参考サイトは以下です。この手続きが踏めない以上、ネットでは難しいような気がしています。
ちなみにSubside Sportsでは、請求先住所を入力した時点で「日本に住んでいる」と認識し、自動でVAT(こちらはイギリスなので20%)が引かれた金額が表示されます。現状、多くのネットショップでは販売者と直に交渉して免税してもらうしかないようなので、その点でもSubside Sportsは信頼できると感じています。
おわりに
だいたいこのような感じでユニフォームを入手しました。今手元には、2018/19アウェイユニ メンズSサイズとMサイズ(ルカさんのオフィシャルマーキング入り)、キッズLサイズ(ルカさんのファンスタイルマーキング入り)、2018/19ホームユニ キッズXL(ルカさんのファンスタイルマーキング入り)があります。
なお、昨年10月にクロアチア代表ユニフォームの追加生産が行われた際にはHNS公式ショップで予約受付が行われました。しかし、ナイキ側のミス(とHNS公式ショップは言っている)で、結局入荷されたのは限られたサイズのみで、購入者は在庫のあるサイズに変更するか、または返金を受けることになりました。
さらに、その際にHNS公式ショップで購入された方の中には、税関から数万円ものありえない額の関税を通告された方もおられました。これは通関士のミスだと判明しました。HNS公式ショップでは値段がクーナで表示されているのですが、これを通関士がユーロと間違えて(1ユーロ=12クーナくらい)、10倍近い購入額で関税計算してしまったようです。日本であまり流通していない通貨で買い物をする時にはそういうことも起こるのだとわかり、今後は一層慎重になる必要があると痛感しました。
クロアチア語の教科書と辞典について
7月に沼にはまってから、クロアチア語のニュースを読んだり、ヴァトレニの皆のインスタ投稿やインタビューを見るようになって、クロアチア語を理解できるようになりたいと思い勉強を始めた。しかし勉強するために情報収集を始めると、日本および英語圏、それどころかヨーロッパにおいてさえ、クロアチア語は想像以上にマイナー言語とみなされている印象を持った。というのも、学習用のテキストや辞典が非常に少ないのである。学習者が最初にぶつかる壁は学習用リソースの少なさであると言って良い。そのため、自分が収集し得た情報をここにまとめておこうと考えた。
1.クロアチア語とは何か。セルビア語と同じなのか。
現在「クロアチア語」と呼ばれている言語は、かつて旧ユーゴスラビアの公用語であった「セルビア・クロアチア語(Serbo-Croatian)」から独立して、新たにクロアチアの公用語として標準化された言語である(Alexander 2006, p. xvii, 387)。旧ユーゴスラビアが崩壊し、各地域が独立を宣言していく中で、それに対応してそれぞれの地域で使用されている言語が、ボスニア語、クロアチア語、セルビア語、そしてモンテネグロ語、というように独立言語であると主張されるようになった。そして、それぞれの国内で独自に「標準語(公用語)」が整備されていった(loc. cit.)。
元々は一つの言語として扱われていたということから察せられるとおり、ボスニア語、クロアチア語、セルビア語の核となる文法規則や語彙は共通しており、それらの話者同士でコミュニケーション可能である(何しろ元々一つの言語として扱われていたのだから)。そうだとすると逆に、これらは別言語ではないのではないか、と思われるかもしれないが、これらが別の言語であるのかそうでないのかという問題への答えは、「一体何をもって独立言語とみなすのか」という言語学上の問題をどう考えるかに大きく依存するため、一言で片付けることができない。しかし少なくとも、それらが別言語であるという主張が生じるきっかけになったのは政治的・民族的理由であると言って良いだろう。英語話者はかつての「セルビア・クロアチア語」に属していた言語グループを、ボスニア語・クロアチア語・セルビア語のイニシャルを取って“BCS”と呼んでいる。
旧ユーゴスラビアの公用語「セルビア・クロアチア語」には大きく分けて3つの方言が存在し、それらは英語の"what"(何)に対応する語が、kajであるか、čaであるか、štoであるかよって分類されている(Alexander 2006, p. xviii, 388. Cf. Hammond 2005, p. 9)。これらの方言はwhatに相当する語にちなんで、Kajkavian(カイ方言)、Čakavian(チャ方言)、Štokavian(シュト方言)と呼ばれる。クロアチア国内ではこれらのいずれもが話されているが、公用語としての「クロアチア語」はŠtokavian(シュト方言)を元に標準化されていった(Alexander 2006, p. xviii, 388)。同じく、公用語としての「セルビア語」「ボスニア語」もこのŠtokavian(シュト方言)を元に標準化されたものである(loc. cit.)。
さらにŠtokavian(シュト方言)は、祖語である古スラヴ語の長母音ě(ヤト)の発音の違いからIkavian(イ方言)、Ijekavian(イェ方言)、Ekavian(エ方言)という3つの方言に分類される(Alexander 2006, p. xviii, 391)。標準形の「クロアチア語」と「ボスニア語」はIjekavian(イェ方言)の発音と綴りを採用している(loc. cit.)。他方で標準形の「セルビア語」は発音と綴りに関してEkavian(エ方言)を採用しているため(loc. cit.)、例えば「素敵な/美しい」を意味する語がセルビア語ではlep、クロアチア語ではlijepであるなどの違いが存在する。
また、表記方法に関してはクロアチア語とボスニア語はラテン文字だけを用いるのに対し、セルビア語はキリル文字とラテン文字の両方を用いる。
以上のように、セルビア語、クロアチア語、ボスニア語とは、かつては一つの言語として扱われていたものがそれぞれの国の独立と共に独立言語としての地位を主張したものであり、また公用語の標準化の際に基礎となった方言も同じであるため、それらの核となる基本的な文法や語彙は共通している。それらの主な違いは、標準語として認められている綴りや表記方法である。したがって、学習者はセルビア語の教科書をクロアチア語の教科書として使うことも可能である。
2.クロアチア語の教科書の紹介
冒頭で述べたように、クロアチア語の教科書は非常に少ない。以下では、手に取りやすい教科書をいくつか挙げてみる。
中島由美,野町素己,『ニューエクスプレス セルビア語・クロアチア語』,白水社,2010.
日本語で読めるほとんど唯一の初学者向けテキストであり、必需品。セルビア語・クロアチア語がどのような言語なのか、おおまかなイメージをつかむことができる。説明事項は初学者向けにかなり絞られている。綴りは標準セルビア語(エ方言)を採用しているので、その点に注意する必要がある。
Vladislava Ribnikar, David Norris, Complete Croatian Beginner to Intermediate Course: Learn to read, write, speak and understand a new language, Teach Yourself, 2014.
- 作者: Vladislava Ribnikar,David Norris
- 出版社/メーカー: Teach Yourself
- 発売日: 2014/09/26
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初心者向けのクロアチア語の教科書で、会話表現に重点を置いている。各章ではテーマごとにまず会話が提示され、そのあとで表現や文法事項の簡単な解説がなされる。説明事項はやはり初学者向けに絞られているが、『ニューエクスプレス』より情報量が多く、詳細。ニューエクスプレスで一通りの文法を学んでから使うのが良いと思う。なおKindle版(500円ほど)もあるので、それで少し中身を見て難易度を確認してみると良いだろう。音声はTeach Yourselfシリーズのサイトでユーザー登録すると無料でダウンロードすることができる。
Ronelle Alexander, Bosnian Croatian Serbian: A Grammar with Sociolinguistic Commentary, Wisconsin University Press, 2006.
Bosnian, Croatian, Serbian, a Grammar: With Sociolinguistic Commentary
- 作者: Ronelle Alexander
- 出版社/メーカー: Univ of Wisconsin Pr
- 発売日: 2006/06/30
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この本は、先に挙げた『ニューエクスプレス』の中で、より詳しく勉強したい人向けに薦められていた。旧ユーゴスラビア解体以後、ボスニア語、クロアチア語、セルビア語を総合的に扱った初めての文法書。著者のR. Alexander氏はカリフォルニア大学バークレー校のスラヴ語スラヴ文学教授である。手に入りやすく、また信頼性の高い文法書としては、現状、決定版であると言って良いだろう。3言語それぞれのバリエーションにも言及がなされつつ、文法が詳細かつ網羅的に解説されている。例文には英語の対訳が付されている。この本は、初学者には情報量が多すぎるかもしれないので、最初にこの本を読んで学ぶというよりは、文法事典として使うのが良いかもしれない。
同じ著者(と共著者)が、学習者向けに作った教科書もある。
Ronelle Alexander, Ellen Elias-Bursać, Bosnian, Croatian, Serbian, a Textbook: With Exercises and Basic Grammar, 2nd edition, Wisconsin University Press, 2010.
Bosnian, Croatian, Serbian, a Textbook: With Exercises and Basic Grammar
- 作者: Ronelle Alexander,Ellen Elias-Bursac
- 出版社/メーカー: Univ of Wisconsin Pr
- 発売日: 2010/03/01
- メディア: ペーパーバック
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3言語で会話文を提示し、文法や語彙をその都度解説する形式で書かれている。より詳細な文法解説のために、Bosnian Croatian Serbian: A Grammarの関連ページへの参照が振られている。先に挙げたComplete Croatian Beginner to Intermediate Courseとは異なり、会話文だけでなく、読み物も収録されている。
Lila Hammond, Serbian: An Essential Grammar, Routledge, 2005.
Serbian: An Essential Grammar (Routledge Essential Grammars)
- 作者: Lila Hammond
- 出版社/メーカー: Routledge
- 発売日: 2005/05/27
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セルビア語(クロアチア語)の文法をまとまった形で学ぶことができる文法書。しかも情報量はBosnian Croatian Serbian: a Grammarよりは絞られているため、見やすく、初学者にもやさしい。学習用にはこちらの方が向いている気がする。こちらも例文に英語の対訳がついている。
この本は、なんとインターネットにPDFデータが丸ごと落ちている(!)。買う前に中身を少し見てみても良いかもしれない。
このほか、古典的な文法書として、以下のものが存在する。
William Richard Morfill, Simplified Grammar of the Serbian language, Trübner, 1887.
著作権切れのため、再録版が色々な出版社から出ている。評判は悪くなく、今でもこれを使って学習している人はいるようである。ただ個人的には、古い文法書はなるべく避けた方が良いと考えているため(これだけ古いと表記法等が変わってしまっていることがある)、使用していない。これもインターネットにPDFが落ちているので、少し中身を見てみても良いかもしれない。
結局どれを買えばいいのか、ということになるが、まずは
・中島由美,野町素己,『ニューエクスプレス セルビア語・クロアチア語』,白水社,2010.
を買って、一通りの勉強をするのが良い。これで物足りなくなったら、
・Vladislava Ribnikar, David Norris, Complete Croatian Beginner to Intermediate Course: Learn to read, write, speak and understand a new language, Teach Yourself, 2014.
を買うと良いと思う。
文法を包括的に学ぶには、
・Ronelle Alexander, Bosnian Croatian Serbian: A Grammar with Sociolinguistic Commentary, Wisconsin University Press, 2006.
を買うのが良い。
3.クロアチア語の辞典(辞書)の紹介
日本語で読めて、かつ実用に足るクロアチア語辞典は私が調べた限り存在しない。東京大学総合文化研究科のサイトに辞典案内が掲載されているので、まずはこちらを参照されたい。
この中で、クロアチアで出版されたというŽeljko Bujas, Croatian-English Dictionary (Zagreb: Globus, 2001)は、私が調べた限り容易には入手できそうになかった。
この辞典案内で一番に挙げられているMorton Benson, SerboCroatian-English Dictionary (Cambridge University Press, 1990)は、アマゾンのマーケットプレイスなどで海外の業者から購入することができる。6万語を収録している、800頁以上ある本格的な辞典。
Serbo-Croatian-English Dictionary
- 作者: Morton Benson,Biljana Sljivic-Simsic
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 1990/03/30
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私の場合、まずは使いやすそうなMorton Benson, Standard English-SerboCroatian, SerboCroatian-English Dictionary (Cambridge University Press, 1998)を購入することにした。こちらは比較的安価で、アマゾンやブックデポジトリーなどで購入することができる。
英語からクロアチア語を調べることができるのはこの辞書の大きな利点である。しかし難点がいくつかあり、とくに名詞の性が記載されていないのは、残念ながら初学者にとっては致命的であろう。
その後、Morton Benson, SerboCroatian-English Dictionary (Cambridge University Press, 1990)の方も買ってみたが、やはり名詞の性に関しては、すべての名詞の項目には逐一書かれておらず、母音で終わる男性名詞、子音で終わる女性名詞、単数形と複数形で性が変わる名詞などのイレギュラーな場合にだけ記載されていた。慣れてきたらそれで良いと思うが、初学者にはあまり親切ではない。
そこでさらに辞書を探したところ、外国語学習者向けの辞書を多く出版しているドイツのLangenscheidt社からLangenscheidt Taschenwörterbuch Kroatischというポケット版の辞書が出版されているのを発見し、購入することにした(フルサイズの辞典は出版されていないようだった)。
- 作者: Redaktion Langenscheidt
- 出版社/メーカー: Langenscheidt GmbH
- 発売日: 2018/09/10
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クロアチア語−ドイツ語の辞書であるためややハードルは高く、またポケット版であるため掲載語数は絞られているものの、見やすく、また名詞の性もすべての名詞の項目で記載されている。
さて以上のことからわかるように、クロアチア語を学ぶに際して、英語かその他何らかのヨーロッパ言語がある程度使えないと、そもそも学習用のリソースにアクセスすることが相当難しくなる。このことは日本国内でクロアチア語を学ぶことのハードルをかなり上げている。昨年末、ザグレブ大学がクロアチア語学習者向けの無料のオンラインコースを提供し始めたが、これも英語またはスペイン語でのみ受講可能である。
croaticum.ffzg.unizg.hr 受講は無料だが、FacebookかGoogleのアカウントを持っていることが条件になる。登録すれば、クロアチア語のダイアログをストリーミングで聞いてクイズに答えるなどの学習モジュールを利用することができる。現状、クロアチア語を学ぶにはこれが一番簡便な方法かもしれない。
参考文献
Ronelle Alexander, Bosnian Croatian Serbian: A Grammar with Sociolinguistic Commentary, Wisconsin University Press, 2006.
Lila Hammond, Serbian: An Essential Grammar, Routledge, 2005.